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1952年京都市生まれ。龍谷大学卒業後、家業を手伝うかたわら、錦市場の鮮魚店「まる伊」に勤務。料理素材を扱う術を学び、1979年に家督を継承し、七代目又八を襲名。季節感を巧みに表現した繊細さと、意表をつく大胆さを併せ持つ、独特の京懐石には定評がある。


近又・鵜飼(以下 鵜飼):「仕事着を考えるにあたって、まず基本的な部分で清潔感は欠かせませんね。今、意外と汚れたままの白衣で調理場に立っている人が多いと聞きます。どんなに美味しくて見事な料理を作ることができても、職人の白衣が汚れていてはいけない。それは衛生面のこともありますが、それがお客さまに対して失礼にあたるということに、気がつけるかどうかということがそもそも大事だと感じます。そんなことを前提に、もう1つ、印象に残る何かがあるような白衣がいいなぁ、と。」
鵜飼:「現在使われている一般的な白衣は、明治の頃に誕生したものらしいんですね。それから平成の今まで、だいぶ長いこと白衣というのは、これといった変化がありませんでしたが、こういう機会を踏まえて、たしかに変化が必要だと感じるようになりました。ただ機能的で清潔な白衣だけではなく、そこにプラス何かの印象を残すものが、ある価値を生み出す時代なのかもしれない、と。」

鵜飼:「新しい価値を考える時に気をつけたいのは、極端に変化してはならないということですね。極端なことというのは、どうしてもおかしなことになると思うんです。そしてそのいびつさは、お客さまが一番分かる。『あれ、なんかおかしいな』と。近又としてここだけは守らないと、という根の部分にはしっかりとこだわる。それはお客さまとの信頼関係にも関わることだと思うんですね。でも、今回はそういう気持ちもしっかり汲んでいただいて、とてもよいものをご提案いただけたと思っています。」
鵜飼:「そうですね。白衣って生地が固いんです。たっぷりノリづけされた白衣なんて、これがまた着心地が悪いものなのですが、それが当たり前だと漠然と受け入れていました。生地にまで気を使っていただいたのならば、洗濯の仕方にも気をつけなければいけませんね。良い物も使い方次第で実力がでない。そこはこれから私たちが気をつけなければいけないことです。」

鵜飼:「私はその時代に生きる人が、その時代を作っていると思うのです。今、すべてのものが平均化に向かっていた時代は終息に向かい、その場所の光だとか香りだとか、あるいは建物の雰囲気とかね、そういった昔からある時間の中で育まれてきたものにも、価値を感じてくれる人たちが再び増えてきたと感じます。またこの白衣の様にね、意識して、時代に合わせて変化していくべき部分もある。今回のプロジェクトは、そんな考えを形にするきっかけになりました。私たちは漠然とした既成概念を捨てなければいけない。それがおもてなしという意識につながるのかと思います。」